人間関係で役立つ自己表現のコツ

人間関係って難しいですよね…うるさい上司に意見できない・家族にきつく言いすぎてケンカになる・恋人に言いたい事を言えずに寂しい思いをしてしまう…そんなことはありませんか?この記事を読めば、日頃の人間関係で活用できる自己表現のコツが分かります!

あなたはどのタイプ?コミュニケーションの3タイプ

アメリカの心理学者は、人間関係の取り方について以下の3タイプに分類しました。あなたはどれに近いでしょうか?まずは自分の現在のコミュニケーションの方法について確認しましょう。

非主張的(ノン・アサーティブ)

自分よりも他人を優先して、自分の事を後回しにするタイプ

(例:気の強い友達に頼まれて大事な漫画をしぶしぶ貸したら後日破れて返却された。何も言えずに我慢した。)

攻撃的(アグレッシブ)

自分のことだけを考えて、他者を踏みにじるタイプ

(例:部下と食事中、店で注文したものとは別の料理が運ばれてきた。大勢の客がいる前で「こんな簡単なことが覚えられないのか!」と怒鳴り、注文した料理を急いで持ってくるように店員に伝えた。)

アサーティブ

自分のことをまず考えるが、他者にも配慮するタイプ

(例:恋人から、電話をかけたのになぜ出なかったのか、と怒られた。「何度も電話をくれたんだね。〇時~〇時は用事で手が離せなかったんだ。すぐ折り返せないこともあるから、緊急じゃなければ、一旦メールで内容を知らせてくれないか?」と提案した。)

状況によっては、これらのタイプを使い分けていることもあるでしょう。どのような場面においても、言葉でのコミュニケーションをとる上では、アサーティブな表現を身に着けておいた方が、良好な人間関係を築きやすいことは明白です。

本来、自己表現とは自由なものです。しかし、言いたい事を何でもストレートに言えばいいのではありません。

人間関係を円滑にするコツを学び、アサーション(思っていることや感じていることをどのように言葉に出して表現するか)を活用する事で、他の人から自分の意見を引き出しやすくなり、相手も自由に意見を言いやすくなります。そして、アサーションを通じて、他者との健全な関係を築くことができるようになります。お互いに尊重し合うことができれば、コミュニケーションもスムーズになり、溜め込まないで自分の気持ちを言えるため、ストレス解消に繋がるのです。

アサーティブとは

アサーティブとは、自分も相手も大切にした自己表現です。アサーティブな人は、自分の気持ちや考えを率直にその場にふさわしい方法で表現し、相手にも同じように発言する権利があることも認めて尊重しています。

素直にお互いが意見をすれば、相手が同意しないことは当然ながら生じます。そんな時、そもそも素直に話して意見や考えが一致するならば、それはラッキーだ、と思っておけば、相手が自分の思い通りにならない怒りなどは生まれないでしょう。葛藤が起きた時に、すぐ自分が折れて相手に譲る・相手を自分の意見に同意させようとする、のではなく、お互いの意見を出し合って納得のいく結論を出そうとするプロセスが大切です。アサーティブな自己表現を身に着けるために、アサーション・トレーニングがあり、ロールプレイなど用いながら実践的に練習を行います。ここでは具体的なトレーニング方法を解説するよりも、ちょっとしたコツだけ簡単にご紹介していきます。

あなたのアサーション度チェック

トレーニング方法を知る前に、まず現状で自分のアサーション度を把握しましょう。以下のリストで、アサーションの度合いを確認しましょう。自分から働きかける言動10項目・人に対する言動10項目の、合計20項目の質問が並んでいます。全ての質問に対する答えのうち、「はい」の数が10以上であれば比較的アサーティブに自己表現出来ている人、「いいえ」の数が10以上あると日頃の人間関係にやや苦手さを感じているかもしれない人です。「はい」にチェックしたものの、相手に対して否定的な感情を抱いた言動だったり、怒りを攻撃的に表現したりする意図が含まれる場合は、相手を配慮していない言動をしている可能性もあるため、「はい」の数からは除外しておきましょう。(改訂版アサーション・トレーニング さわやかな<自己表現>のために p13.14抜粋)

1.誰かにいい感じをもったとき、その気持ちを表現できますか(はい・いいえ)

2.自分の長所や、なしとげた事を人に言うことができますか(はい・いいえ)

3.自分が神経質になっていたり、緊張している時、それを受け入れることができますか(はい・いいえ)

4.見知らぬ人たちの会話の中に、気楽に入っていくことができますか(はい・いいえ)

5.会話の場から立ち去ったり、別れを言ったりすることができますか(はい・いいえ)

6.自分が知らないことや分からないことがあった時、そのことについて説明を求めることができますか(はい・いいえ)

7.人に援助を求めることができますか(はい・いいえ)

8.人と異なった意見や感じをもっている時、それを表現できますか(はい・いいえ)

9.自分が間違っている時、それを認めることができますか(はい・いいえ)

10.適切な批判を述べることができますか(はい・いいえ)

1.人から誉められた時、素直に対応できますか(はい・いいえ)

2.あなたの行為を批判された時、受け応えができますか(はい・いいえ)

3.あなたに対する不当な要求を拒むことができますか(はい・いいえ)

4.長電話や長話の時、あなたは自分から切る提案をすることができますか(はい・いいえ)

5.あなたの話を中断して話し出した人に、そのことを言えますか(はい・いいえ)

6.パーティーや催し物への招待を、受けたり断ったりできますか(はい・いいえ)

7.押し売りを断れますか(はい・いいえ)

8.注文した通りのもの(料理とか洋服など)がこなかった時、そのことを言って交渉できますか(はい・いいえ)

9.あなたに対する人の好意がわずらわしい時、断ることができますか(はい・いいえ)

10.あなたが援助や助言を求められた時、必要であれば断ることができますか(はい・いいえ)

アサーティブな自己表現のコツ

アサーションを行うためには、自分自身を知ることが必要です。自己理解は、自分の価値観や意見、感情についての理解を深めるプロセスです。自己理解が深まることで、自分の本当の気持ちや意見を率直に表現することができるようになります。相手に嫌われるんじゃないか、自分が正しいんだから相手を怒って当然だ、など自分の中の思い込みによって自己表現は変化しますので、まずは自分がどんな考えや感情をもっているのか、把握する事から始めましょう。自己理解は自己成長の一環でもありますので、日々自分自身と向き合い、自己分析を行うことが大切です(自己理解の深め方については、また別の記事でご紹介することにします)。

ここでは、そうはいっても手っ取り早くコツが知りたい人のために、一つだけ簡単な方法をお伝えします。それは、会話の中で「DESC法」を活用することです。これは、何かを提案したり、自分の気持ちや考えを明確にして話したりする時に役立つ言い方のことです。

D=describe:描写する

  自分が対応しようとする状況や、相手の行動を述べる。客観的・具体的・特定の事柄。

E=express,explain,empathize:表現する、説明する、共感する

  状況や相手の行動に対する自分の主観的な気持ちを表現、説明、相手の気持ちに共感する。

S=specify:特定の提案をする

  相手に望む行動、妥協案、解決策を提案する。具体的・現実的な小さな行動変容の提案について明確に述べる。

C=choose:選択する

  肯定的、否定的結果を考え、それに対してどんな行動をするか選択肢を示す。実行可能なもので相手を脅かすものではないように。

DESC法を使って、相手を会話を進める例として、以下のようなものがあります。状況は、友達の話が長く、帰りたくとも言い出せない場面とします。

「そろそろ話し始めて1時間経つね(D)。あなたはもっと話したいことが思い浮かんでるかもしれないね(E)、楽しかったけど、かなり時間が経ったから私はこの辺で帰ろうかと思うよ(E)。また来週の月曜に続きを話さない?(S)、そうしたらまたゆっくり時間がとれるんだ(C)。」

このように、自分と相手の意見を尊重しながら、順序を追って説明していくと、相手も悪い気はしないでしょう。例はDESC法を分かりやすく簡単に当てはめていますが、実際は言葉遣いとボディランゲージの適切な使い方があってこそです。相手に対して敬意を持ち、優しく接することが大切です。

最後に

いかがだったでしょうか?自分のコミュニケーションのパターンを自覚するだけでも、人間関係を円滑にするための一歩に近づきます。今回は大まかなアサーティブな自己表現についての説明でしたが、職場・家族・友人など、自分の現状に当てはめて、相手との関係性によって予め自己表現の仕方について考えを巡らせておくことで、いざという時に活用できます。

自分だけが我慢すればいい、と思って何も言わないのは自分を大事にしていないことになりますし、相手が悪いんだから何を言ってもいい、と思って怒るのは相手を大事にしていないことになります。

周りの人と豊かな人間関係を築いていきたいと考えるならば、自分も相手も大切にしあえる自己表現について学んでいきましょう。

今回は、アサーション・トレーニングについて、著名な平木典子先生の書籍を参考にご紹介しました。平木先生はアサーションについて複数の書籍を出されていますが、私が学生の頃に愛読していたこちらの本が入門書としては最適ですのでご紹介します。深く学びたい方はぜひご一読ください。


そして、なんと改訂版が出ていました…人気すごいですね。最新はこちらです↓


最後までご精読ありがとうございました!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA